どうも、プロFXトレーダーのコウタです。
FXトレードで稼ぎながら
トレードの指導や、ブログ、メルマガで情報発信を行っています。
今回はおなじみ「ダウ理論」のお話をしようと思うのですが
ダウ理論って時代遅れなの知ってました?
ちょっと検索したら出てくるんですけど
ダウ理論は6つの法則から成り立っています。
①平均はすべての事象を織り込む
②トレンドには3種類ある
③主要トレンドは3段階からなる
④平均は相互に確認されなければならない
⑤トレンドは出来高でも確認されなければならない
⑥トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
ん~、初めて見たときから思っていましたが
何を言わんとしているか、すごく分かりにくいですよね。
まあ、それもそのはず。
ダウ理論が唱えられたのは、今から100年以上も前。
しかも、株取引のジャーナリストであるチャールズ・ダウさんが
長期的な株価の推移を推し測るために提唱したものです。
そう。
インターネットで、グローバルに、
瞬時に情報のやり取りが行われる現代とは
まったく異なる環境で唱えられたものなんです。
しかも、株式ではなくFXならなおさら。
原文翻訳を見て意味が分からないのも納得です。
そこで今回は、
よく意味が分からないダウ理論を
現代の、しかもFXの目線で読み直してみました。
本記事を最後まで読めば、
ダウ理論のすごさや重要性、
あるいは違った一面にあらためて気づくかも。
では、6つの法則を順番に読み直していきましょう!
目次
目次
①平均はすべての事象を織り込む
まずは1つ目。
①平均はすべての事象を織り込む
政府が発表する経済統計や企業の業績・更には自然災害の様な予測不可能な事象に至るまで、需給に関するあらゆる事象は全て市場価格に織り込まれる。
翻訳原文はWikipediaから拝借しましたが
1つ目からさっそく分かりにくい。笑
この「織り込む」「織り込み済み」というワードは
現代でもちょくちょく出てきます。
ニュースが流れたものの
周知の事実だったために値が動かない、みたいなことありますよね。
でも「平均は」という出だしがすごくわかりにくい。
なんだか気持ち悪い日本語です。
つまり、
あらゆる買い材料とあらゆる売り材料がある結果として
現在の価格がある、ということなんですが
「で…?だからなんなの…?」
と言いたくなる気持ちも分かります。
でも、ダウさんの言いたいこともわかります。
チャート形状から相場心理を読み解き
それを元にトレードすることを
テクニカルトレードとか
テクニカル分析といいます。
一方で、世界の経済情勢や金融政策に着目し
今後の値動きの動向を測る方法を
ファンダメンタルズトレードとか
ファンダメンタルズ分析といいます。
ダウ理論の翻訳原文からは
ダウさんは根っからのテクニカル論者であることがうかがえます。
要するに、
「すべてのファンダメンタルズが反映されているのがチャートなんだから
飛び交う情報に惑わされずにチャートだけで判断しなさいよ」
と言いたいわけです。
ちなみに私自身も根っからのテクニカルトレーダーなので
ダウさんの意見
に賛成です。
ダウ理論の1つ目ということもあり、
相場と向き合うためのスタンスを示したんでしょうね。
ということで、
「①平均はすべての事象を織り込む」は、
「①チャートにはすべてのファンダメンタルズが反映されている」
としましょう。
②トレンドには3種類ある
2つ目。
②トレンドには3種類あるダウ理論では、価格変動の分析において市場動向(トレンド)を重視する。そのトレンドを以下の3つに分類している。
- 主要トレンド:1年~数年のサイクル。
- 二次トレンド:3週間~3ヶ月のサイクル。
- 小トレンド :
- のサイクル。
これらのトレンドは互いに独立しているのではなく、二次トレンドは主要トレンドの調整局面であり、小トレンドは二次トレンドの調整局面として捉えられる。
ふむふむ。
長期・中期・短期の周期で
波を3つのサイズに分けて考える、と。
これはよく分かります。
私自身、相場というのは
複数のサイズの違う波が重なり合って形成されている
という認識を強く持っています。
どんな波も、より大きな波の一部であり
どんな波も、より小さな波によって形成されている
大きな波は小さな波に影響を与え、
小さな波から順にその方向を変えていく
これらは「値動きの原理そのもの」とも言えるもので
この原理があるからこそ
私のトレードは成り立っていると言えます。
FXデイトレ向きに修正するとすれば「周期」でしょうか。
ダウ理論の舞台は、インターネットのない時代。
取引所や電話を使ったアナログな株取引だったからこそ
取引の期間はどうしても長くなり、
長期保有やスイングトレードが主流。
1年~数年 → 長期(月足)
3週間~3ヶ月 → 中期(週足)
3週間未満 → 短期(日足)
という3つに分けて考えるぐらいがちょうど良かったんでしょう。
しかし、グローバルなネット環境や
リアルタイムな発注システムが確立している現代では
デイトレやスキャルピングのような短期売買も発達。
1分足からある無数の波のサイズを考えると
どんな周期を長期・中期・短期とするかは
各トレーダーのトレードスタイルによるし、
小さな波を基準にするほど、
それに影響を与える波の数が3種類より多くなることになります。
以上のことから、
「②トレンドには3種類ある」を現代調に直すと
『②重なり合う複数の波を互いに意識すべし』
ちょっと原型から遠ざかりましたが
重要なエッセンスは押さえているので
これくらいが現代調としてはいいんじゃないかなと。
③主要トレンドは3段階からなる
3つ目。
③主要トレンドは3段階からなるまた、主要トレンドは買い手の動向によって3つの段階からなるとしている。
- 先行期 :市場価格が下落し全ての悪材料は織り込み済みと判断した少数の投資家が、いわゆる”底値買い”をする時期。価格は、下落しているか底値圏で上下している。
- 追随期 :市場価格の上昇を見て追随者が買いを入れる時期。価格は、上昇局面にある。
- 利食い期:価格が充分に上昇したところを見て、先行期に買いを入れた投資家が売りに出て利益を確定する時期。価格は既にその前から上昇局面にあるものの、その上昇する値幅は小さくなっている。
これも「値動きのメカニズム」や
「トレーダーの心理」を考えると
非常に理にかなっています。
下落途中の波があったとしても
どこかの地点で「買いたい」と考えるトレーダーが
参入してきます。
「上がりそうだから買ってみよう」
という打診的な買い注文です。
これが翻訳原文で言うところの先行期ですね。
買い注文が入り出し、実際に値が上がり始めると
「自分も買いたい」と考えるトレーダーが増え
さらに続々と買い注文が集まってきます。
「お、上がるな。買え買え~」
という確信を持った買い注文です。
これが追随期です。
ある程度値が上がっても
トレンド継続を信じて買いたいトレーダーはいますが
買っていたトレーダーの利益確定も入り始め、
だんだんと上昇の勢いが失速し始めます。
「まだ上がるでしょ」という
後追いの買い注文と
「もうそろそろ上げ止まるでしょ」という
買い注文の決済が入り乱れ始めます。
この辺りが利食い期ですね。
「トレンドは3回伸びる」
という言われ方もよくするし、
「エリオット波動」という考え方も有名ですね。
あまり詳細な解説は割愛しますが
エリオット波動は、「波の数え方」です。
最初の推進波 → 1波
その後の調整波 → 2波
2回目の推進波 → 3波
その後の調整波 → 4波
3回目の推進波 → 5波
このように5つの波を数えるのですが、
「3波」が最も伸びやすい、とされています。
この3波がダウ理論で言うところの
追随期と一致します。
まあ、リアルな相場は
「3段階」とか「5つの波」だけで単純に測れるほど
分かりやすい値動きばかりではないですが
「③主要トレンドは3段階からなる」は
実際のトレーダー心理の移り変わりをよく表しているので
あえて翻訳し直すことはないでしょう。
ただ、”主要”という言葉の必要性はよく分からないので
『③トレンドは3段階からなる』でいくことにします。
④平均は相互に確認されなければならない
④平均は相互に確認されなければならない複数の平均的指標が存在する場合、その両者に同じシグナルが見られないなら明らかにトレンドとして捉えることは出来ないと考える。もっともシグナルが同時期に出現する必要はないものの、直近においてシグナルが発生していればトレンドとして捉えるべきであり、且つ可能な限り同時期に近ければ確定的としている。ダウが活躍した時代のアメリカでは、工業生産が盛んになると共に製品を輸送するための鉄道が整備された時期であった。工業生産の好調・不振は即座に鉄道業の経営に影響したことから、ダウが創刊した『ウォールストリート・ジャーナル』ではダウ・ジョーンズ工業平均株価と運輸株平均をチャート形式で掲載している。
4つ目は…
パッと見、よくわからないですよね…。
また「平均は」って言ってる。
内容を読むと、
あるチャートのトレンドの判断をするときは
関連する他のチャートも併せて考えようねってことかなと。
工業平均株価と鉄道株平均が例に上がっているように、
思いっきり「株」の話ではありますが、
FXトレードに当てはめると
まずひとつ、通貨ペア同士の相関関係が思いつきます。
例えば、ドル円とユーロドル。
両者は共に「ドル」の影響を受けるので
例えば、ドルが買われる材料があれば
「ドル高」の方へ動きやすくなりますよね。
このとき、
ドル円は上昇するし、ユーロドルは下落します。
つまり、
ドル円の上昇トレンドを買いたいときは
ユーロドルの下降トレンドも併せて確認すると
根拠が増して優位性が上がる、と。
逆に、
ドル円を買おうと思っても
ユーロドルが下がりそうにない状況なら
ドル円の上昇に疑念を持つべき、
という考え方もできます。
実際に通貨ペア同士の相関関係を
トレードの指標にしている人もたくさんいます。
かくいう私はというと、状況によっては参考にする程度。
意味がないとは思わないけど
あえてそれに頼る必要はない、
別になくてもトレードはできる、という感じです。
というのも、そんなに分かりやすい考え方じゃないんですよね。
ドル円とユーロドルの関係で言うと
「ドル」の影響を受けるけど
「円」にも「ユーロ」にも影響を受けるわけで。
で、通貨ペアなんて他にも無数にあるわけだし、
あらゆる通貨があらゆる通貨の影響を受けたり受けなかったり。
時々刻々と変わる無数の通貨同士の相関性なんて
把握し続けるのも一苦労で
完全に上級者?向けの考え方だと思ってます。
ただ、
複数の根拠をもとにトレードする
という思想は大事です。
わざわざ他のチャートから根拠を持ってこなくても
同一チャート内で複数のトレード根拠を集めることはできます。
複数の時間足(波)
複数のライン
複数のインジケータ
「上がる」と考える根拠がたくさんあれば買いやすいし
「下がる」と考える根拠がたくさんあれば売りやすいですよね。
ということで、
「④平均は相互に確認されなければならない」
というのは翻訳し直しましょう。
ダウ理論はもっと一般論であるべきだと思うので
『④複数の根拠をもとに注文すべし」
これでいきます。
⑤トレンドは出来高でも確認されなければならない
5つ目。
⑤トレンドは出来高でも確認されなければならない市場の終値の変動をダウは重視するが、同様にトレンド発生の確認手段として出来高の推移も重視する。例えば上昇局面においては値上がり時に出来高が増加し値下がり時には出来高が減少、下降局面においては逆になる。主要トレンドに従って取引する投資家が多数派であり、二次トレンドや小トレンドで利益を得ようとする投資家は少数派であると考え、それが出来高の多少に反映するとする。
これは「The株取引」という感じですね。
出来高とは
株式の売買が実際に成立した量を表すもので
出来高が多いほど活発に取引されていることになります。
「トレンドは出来高でも確認されなければならない」
この言い回しが分かりにくいですが、つまり
出来高が減少するトレンドの調整局面で取引するのではなく
出来高が増大するトレンドの推進局面で取引しようぜ、
ってことですね。
出来高を気にしながら取引できるのが株取引の特徴ですが、
一方でFXトレードにおいては
出来高という概念自体が無い、
と言ってもいいほど薄れています。
各取引が1個の取引所(例:東京証券取引所)に集約される株取引とは違い、
世界中の金融機関やトレーダーが膨大な取引を行い
実需にも影響を受ける為替相場では
正確な出来高を確認、把握することができないからです。
しかし、
正確な出来高が分からないからといって
取引量が多いほど相場が活発化し
値動きが大きくなるなるのはFXも同じ。
トレンドの調整局面よりも
トレンドの推進局面の方が出来高は多いことになります。
出来高が目に見えようが見えまいが、
「トレンドの推進局面で取引しようぜ」
という結論は変わらないわけですね。
FXトレードにおいて、
出来高、つまり取引量が増えることによって
相場の活発化が見られるシーンは他にもあります。
ロンドンの市場が開いたとき
ニューヨークの市場が開いたとき
などはその代表例です。
ロンドン市場のオープンは日本時間の16時~17時
ニューヨーク市場のオープンは日本時間の21時~22時
巨大な資本力が
「さあ今日もトレードがんばるぞ~!」と
資金を投入しだすので
取引量が増え、相場が活発に動き出します。
他にも、
重要な経済指標発表時にも取引量は増えます。
国の経済状況は、その国の通貨の価値に直結するので
経済の悪材料、好材料が取引を活発化させ
急激な値動きが発生するわけです。
まとめるとこうです。
『⑤取引量が増え、相場が活発化するときにトレードすべし』
経済指標発表による急激な値動きなんかは
下手に手を指すと命取りになるので
一概に「取引量がすべて」とは言えませんが
日本時間の昼ぐらいとか
マイナーな通貨ペアとか
レンジの中とか
取引量が減り、値が動かない状況はあります。
そういう状況でのトレードを避けた方がいいのは確かですね。
⑥トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
6つ目、これで最後です。
⑥トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する現在の市場で発現しているトレンドは、明確にトレンドの転換シグナルが現れるまで継続し続けるとする。トレンドに従った売買によって多くの投資家は利益を得るのであり、トレンドに逆らった売買で利益を得るのは難しい。
初めてこの文章を見たとき、
明確な転換シグナルってなんぞや?と思ったものです。
上昇トレンドとは、
高値と安値を切り上げながら進む波のことで
下降トレンドとは、
安値と高値を切り下げながら進む波のこと。
逆に言うと、
押し安値を下抜けば上昇トレンドは終了
戻り高値を上抜けば下降トレンドは終了
ということになります。
つまり、明確なシグナルというのは
押し安値抜け、戻り高値抜けのことであり、
「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する」
とは、
上昇トレンドは押し安値を下抜くまでは継続する
下降トレンドは戻り高値を上抜くまでは継続する
と読み替えることができます。
これが世界の共通認識として「在る」ことがとても重要です。
今は
上昇トレンドなのか
下降トレンドなのか
どこを抜けたらトレンドが終わるのか
その部分の認識がダウ理論によって
世界共通になっているからこそ
波の形はより秩序を保たれるし
各トレーダーが戦略を立てることができます。
というわけで、
「⑥トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する」
これは分かりやすく言い換えて
「⑥トレンドは押し安値・戻り高値を抜けるまで継続する」
としましょう。
まとめ
6つの法則を読み替えてきましたが
まとめてみましょう。
もともとのダウ理論翻訳原文はコレ。
ダウ理論翻訳原文
①平均はすべての事象を織り込む
②トレンドには3種類ある
③主要トレンドは3段階からなる
④平均は相互に確認されなければならない
⑤トレンドは出来高でも確認されなければならない
⑥トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
今回、現代FXバージョンに読み替えたのがコレ。
①チャートにはすべてのファンダメンタルズが反映されている
②重なり合う複数の波を互いに意識すべし
③トレンドは3段階からなる
④複数の根拠をもとに注文すべし
⑤取引量が増え、相場が活発化するときにトレードすべし
⑥トレンドは押し安値・戻り高値を抜けるまで継続する
わかりやすくなった …のか?
まあでも、
あらためてダウ理論と向き合い
より深く理解するきっかけにはなったのではないでしょうか。
時代背景や取引内容、取引スタイルが違うので
実はストンと腑に落ちにくかったダウ理論ですが
けっこう、いや、かなり核心的で重要なことを言っています。
また、
「トレンドに沿った値動きを狙う」という前提に立っているので
初心者、中級者問わず大いに参考にできる内容です。
ぜひ、あらためてダウ理論を理解し、
今後のトレードライフに役立ててください。
それではまた。
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